I『母なる証明』
http://www.hahanaru.jp/
ゼロ年代最も重要な映画作家と目されるポン・ジュノ監督の最新作。あの『殺人の追憶』を思わせる犯罪モノ…だと思わせておいて、これまた韓流トラウマ路線。ポン・ジュノ監督のいままでのエンターテイメント性は薄い。ひたすら重い。鈍器で頭打っ叩かれるかのような重い作品。男子にとっての母親のイヤーな感じとか、田舎のイヤーな感じとか、とにかく全編に漂うイヤーな感じが、ドロッドロに煮詰まっていった挙句の、あのラスト。まさに映画としか言いようのないラストで正直、放心してしまいましたが、心が弱ってる時には観ない方が良いです。
H『グッド・バッド・ウィアード』
http://www.gbw.jp/
かの『続・夕陽のガンマン』の韓国版リメイク。ソン・ガンホが素晴らしいのはいつものことだが、それより何よりイ・ビョンホンが凄まじすぎる! この映画でのイ・ビョンホンの残虐ぶりに惚れ込み、大ファンになってしまいました。とにかくイ・ビョンホンが暴れまわって、殺しまくってる雄姿を見てるだけで幸せな気分にさせられました。内容はほとんど空っぽだが、そこがまた最高なのだと断言したい!
G『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男』
http://www.vincent-cassel-movie.com/
ともかくヴァンサン・カッセルが見たかった。昨年の『イースタン・プロミス』の彼は本当に最高だったので、この映画に関してはあまり予備知識もなく観に行ったのですが、途轍もなく濃密な映画。監督が、僕の愛してやまないカーペンターの『要塞警察』を毒にも薬にもならないリメイクに仕上げた人なので不安だったのだが、これは気合の入れようがハンパない。まるで70年代の映画を観てるような印象だ。はっきり言って、「権力に対する止み難き憎悪と反逆心」がヒシヒシと伝わってくる、そんな映画。特にPart1の展開に燃えました。
F『スリ 文雀』
劇場未公開。DVDスルー。ジョニー・トーの新作です。昨年、あんだけ話題に上った『エグザイル/絆』を持ってしても、日本におけるジョニー・トーの評価は定まらぬまま・・・。悲しい。というか『エグザイル』を話題に釣られて観た人も、その前作とでもいうべき『ミッション』も『ブレイキング・ニュース』も『PTU』も『エレクション』も『ヒーロー・ネバー・ダイ』も『暗戦』も観ないまま終わってしまったんだろうな・・・。来年はついに『復仇』が公開されますが、それで状況が変わることを今度こそ祈ろう。この『文雀』は、コメディ版『エグザイル』みたいな感じの小品。銃撃戦のかわりにスリ対決(ミュージカル風に!)という訳の分からない展開を見せるのですが、熱いです。超面白いよ!
E『レスラー』
http://www.wrestler.jp/
これは…泣いた。『明日のジョー』とそっくりなラストにも、もちろん号泣しそうになったけれど、スーパーの惣菜コーナーで働いてるシーンとか、娘と和解するシーンとか、ファンとの交流会での無残なシーンとか、ハードコア試合の後で泣いてるシーンとか、若いレスラーと談笑してるシーンとか、近所の子供とファミコンしてるシーンとか…思い出すだけで涙腺が緩んでしまう。自分の居場所を見つけることは幸せなことだけど、その居場所にいつまでもはいられないのだとしたら…外の現実がとてもとても辛いものだったとしたら…。ああ…とても切ない苦しい映画です。多分、プロレス好きの人が観たら、僕なんかよりもっと泣くだろうね。
D『チェイサー』
http://www.chaser-movie.com/
またも韓国犯罪実録路線の大傑作が生まれました。たぶん『殺人の追憶』とタメはる傑作。とにかく暴力表現に躊躇いのない韓国映画は素晴らしい。素晴らしいが、それだけ精神力を試される。観終わると正直ドッと疲れる。下手なホラー映画なんかより、よっぽど痛いし、怖い描写が続出してますから。サスペンスとしても、その見せ方も、すごく良く出来ていて、もう邦画なんかでは到底追いつけない極点に達しているといっても過言ではありません。本当に観終わった後、「傑作だ・・・」としか言葉になりませんでした。
C『3時10分、決断のとき』
http://www.310-k.jp/
まさかこんな御時世に、こんなにも面白い西部劇をシネコンのスクリーンで観る日が来ようとは思わなかった。それだけで幸せ。ラッセル・クロウも、クリスチャン・ベイルも素晴らしいけど、さらに凄味を見せたベン・フォスターなる役者に注目しましょう。悪党だけど美学を持って生きるラッセル・クロウと、夫としても父親としても権威を失ってしまってるダメ牧場主クリスチャン・ベイルが、最終的に男の絆で結ばれていくという王道展開に、これまた泣いた。アメリカはこれから先、自らの神話とでも言うべき西部劇を作り続けられるのかどうか…心配だ!
B『愛のむきだし』
http://www.ai-muki.com/
これほど、愛と宗教について真摯に向き合った映画を僕は他に知らない。上映時間4時間。それは映画ファンにとっては2009年最初のお祭り騒ぎだった。そして全員がまず間違いなく打ちのめされたであろう。今年公開された日本映画で本当に重要なのはこれだけだと言ってもいい。決して『おくりびと』などではない。パンチラとか盗撮とか変態とか勃起とか女装とかさそりとかを通して、愛と神に通じる物語は、何がなにやら分からぬうちに崇高な印象を帯び始めて、気づいたら観てるこっちは感動の涙を流していた…という有様である。主人公とヒロインが4時間に及ぶすったもんだの挙句、セックスはおろかキスさえせず、最後の最後で手を繋ぐカットが写って映画は終わるのだが、壮絶なまでにカッコいいと思った! こ…これが愛と言うものなのかー!
A『グラン・トリノ』
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top
言うまでもなく、今年最高の映画。もう語り尽くされているでしょうから、個人的に言うことは何もない。ただまあ、今年、一番泣けた映画であることは間違いない。これを、この年、映画館で観たか、観なかったかで、人間の評価ができるのではないかとすら思う。『燃えよドラゴン』や『スター・ウォーズ』や『2001年宇宙の旅』を公開当時、映画館で観なかった人間を信用出来ないと同じ意味で。そんくらい映画史に残る名作だと思いますよ。
@『パイレーツ・ロック』
http://www.pirates-rock.jp/
そして一位はこれ。もちろん映画としての風格とか、作品のレベルとかいったら『グラン・トリノ』に叶うべくもないでしょうが、そういう話は別として、どうしようもなく好きで好きで仕方がない映画ってもんが、誰にだってあるでしょう? それが僕にとってこれ(ちなみに去年は『ハプニング』)。本当にもうすべてが好き。すべてのシーン、すべてのカット、すべての音楽、すべての登場人物。大好きだ! 大好きだー! DVD出たら速攻で買う。落ち込んだ時とかに観て、元気をもらう、そんな一生の付き合いになるであろう映画。本当に好きなシーンがいっぱいあり過ぎて、観てる間、幸せで幸せで、自分がどうかしてしまったのではないかと怖くなったほどです。『あの頃、ペニー・レインと』なんか目じゃないくらい、ロックンロールのハッピーでカラフルな側面がこれでもかってくらい溢れまくってます。最高です。最高でした!
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順番に数え上げて言ったら、大好きな『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』どころか、『イングロリアス・バスターズ』すら選外になるという結果に…。そう考えると、数は少ないけれど、良作に恵まれた一年だったのかもしれない。しかし来年のラインナップは凄いことになっているので、今から期待して待とう。
ちなみに個人的には、
主演男優賞『レスラー』のミッキー・ローク
主演女優賞『母なる証明』のキム・ヘジャ
助演男優賞『3時10分、決断のとき』のベン・フォスター
って感じです。
2009年最凶だったのは誰が何と言おうと『グッド・バッド・ウィアード』のイ・ビョンホン。
そして2009年最高の名シーンは『ヘルボーイ』で、ふたりのモンスター(両方とも重度のオタク)が「女なんて訳分んねー」と酔っ払ってバリー・マニロウ歌うシーン! 何度観ても泣ける…!
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